○ 幼児期は体の基本ができ上がっていく大事な時期です。
また、そのことは精神・知能の発達とも密接に関連しています。
○ このため、栄養の補給とともに、どんな運動をするかが重要なのですが、
人間の体は、主な筋肉だけで30以上あり、細かい筋肉や骨格を含めて全
てをバランスよく成長させていくことは簡単なことではありません。
○ 最も望ましい運動は、かつて原始時代の人間が行っていた、野原を走る、
木に登る、土を掘る、崖をくだる、海を泳ぐ、川にもぐる、といった多種
多様な動き全てを行うことです。人間の体はそういう動きに対応して進化
してきたものなのです。
○ このため、特に幼児期において不足しがちな運動を補うために開発され
たのが「リズム運動」です。
埼玉県にあるさくら・さくらんぼ保育園の斉藤園長先生が、アメリカの
律動やスイスのリトミックなどを基にしつつ実際の保育の中で試行錯誤し
ながら作り上げられたものですが、今では全国の保育園・幼稚園において
取り入れられています。
○ より具体的に言うと、例えば「両生類のようなハイハイ」というメニュー
があります。
これはカエルのように両腕両脚を広げて床でハイハイをするものですが、
片方の脚を大きく開いて前に出し、その親指でしっかり床を蹴るとともに、
前に伸ばしていた逆の腕の手の指に力をこめて体全体を前に進める、
という動きをすることによって、
@ 腕と脚を根元から最大限に動かす、
A 手と足の指に思い切り強い力をこめる、
B これらの動作を両手両足について総合調整しながらリズミカルに行う、
という普段なかなか出来ない三つの運動要素を含んでいるのです。
このうち、指に力をこめる、体の動きを総合的に調整するということは、
特に脳の発達を促す効果が大きいといわれています。
○ 滝内保育園では普段から園庭で自由に走り回ったり、ジャングムジムや
ドームに昇り降りしたり棒登りをしたり、あるいは長距離の散歩・遠足を
行ったりと様々な運動をするようにしていますが、冬はそのような運動が
出来なくなってしまうため、毎週リズム運動を行っています。
ところが、現代の社会において運動は単純なものになりがちです。
このため、一見、体が大きくなり成長しているように見えても、運動
テストの結果などを見ると筋力やバランス感覚が不足しているケースが
多くなっています。
乳幼児期の体の発達が精神・知能の発達と強く結びついていることか
ら考えると、そのことは子どもの精神・知能の成長を妨げている可能性
もあるのです。